そのデザインは素材の盗用?それとも流用?

そのデザインは素材の盗用?それとも流用?

8月 22 2015 - 2,お仕事系
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2020年東京オリンピックのエンブレムの制作にあたり、担当したデザイナーの盗用では無いかと騒がれている。

私は詳細までは分からないので、それがどうだとか意見できないのだけれど、私の仕事が日々グラフィックデザインに携わっているので、少し話したいと思う。

2015-08-20 17.00.01

盗作か否か?スイカ写真事件『著作権とは何か』

盗用とオリジナルの境

自分が起業する前に勤めていた頃の話。

パソコンが家にあるのが当たり前になって、便利なソフトが安価に出回り、その流れで素材集の出版が流行った頃があった。

デザイン制作会社の営業をしていた私は、出版社とのお付き合いもあって、素材集制作を請け負った事があったのだ。

どういった物かというと例えば、『季節物の素材集』で、それを購入すると、アドビのフォトショップエレメンツの体験版と素材がたくさん入ったROMがついていて、パソコンにインストールすると、簡単に自分の子供と可愛いフレーム素材を組み合わせて、ハガキが完成。

それをプリントアウトすると、自作で自分好みのハガキが出来てしまうというものだ。

初年度は、その年のものだけだったのに、そのうち3年使える5年使えるだとか、素材の数で勝負といった流れになってくると、もう自社のデザイナーだけではアイデアなんて出てこない。

当然テイストの違う素材でなくちゃいけない。

そうなると仮に100個の素材を作るために、一人あたり6,7個のアイデアで済むように、フリーで活動しているデザイナーさんに声をかけて、協力してもらうのが得策になる。

で、全員集まってもらって、作成の注意事項などの説明を編集長(あるいは担当者)やアートディレクターから行って貰うわけだが、世の中に素材集が溢れてくると、そう言わざるを得ないだろうなーという内容になってくる。

・・・・・・・・

「アイデアを探すために、おそらく皆さん他の素材を参考にすると思いますが、完全に真似ては駄目。参考にするなら、必ず原型が分からないようにしてください

具体的には、いくつかの素材を重ねる

色や形を変える

イラストなどは、そのままコピーではなく模写をする

そして流用した場合は、流用元を添付して提出してください。」

・・・・・・・・・・

という説明をしたわけだ。

本来ならば全てがオリジナルであることが望ましい。

しかし、次々と新しいアイデアが浮かんでくるなんて人は、ほとんどいなくて、これだけ世の中に素材が溢れると、当然アイデアの参考になりそうなものを探してみるし、ちょっと使わせて貰おうかな?って誘惑がたくさんある時代。

しかも1点あたりの作成料金はかなり低い。

となれば、制作負担を減らすために、こういった説明を事前にして、最初からアイデアの流用を認めることで、アイデアが出てこなかった時の盗用を防げるということになる。

実際に数点は、似すぎているという理由で修正依頼もした。

 

デザインには、黄金比率や受け入れやすい配色などがあって、どうしても似てきてしまう場合もある。

だから何が盗用で何がオリジナルかという境界線は完全コピペで無い限り判断は難しい。

 

ちなみに表参道ヒルズのロゴが発表されたときには、私も「わーなんか新しい!素敵だなー」とけっこう感動したのだが、その後に似たようなロゴがたくさん出てきた。

でもそれが模倣かどうかなんて誰にもわからないし、素敵なものにはどうしても影響を受ける、それが人間の感性の一つだとも思う。

 

難しいと思う問題のひとつ

 

著作権は難しいなーと思う一つに、

和柄やテキスタイルなどがある、何が昔からある図柄で著作権の保護期間が切れているものなのか、それともオリジナルの柄なのか?なんて判断はかなり難しい。

参考になりそうな本もあるし、WEBにも出ているけれど、それが正しいかも怪しいということになる。

それこそ専門家の監修者を立てないと普通では分からないし、かなり危険なのだ。

例えば以下の写真。

kama

かまわぬの手ぬぐい。これはかまわぬが作成している和柄

普通の人は、著作権切れしている和柄なのか、どこかのデザイナーが作成したオリジナルの柄なのかなんて、わからない。

著作権切れしている伝統和柄ならば当然使いたいが、もしかしたら最近作られたもので著作権違反になるかも知れない。

権利者がいるものかも知れないのに、ネット上にゴロゴロ転がっているから本当に普通では判断が難しいので、商用で利用する場合は、どういった質の制作物なのかと慎重になければいけないと思う。

たとえば今日ちょうど8/20付けで(株)アマナイメージズよりプレスで出された判例なんかはちょっと驚いた。

デザイン関連の仕事をしていれば誰もが知っている、レンタル写真で有名なアマナが著作権を侵害されたと訴えを起こした。
しかも、相手(被告)は、弁護士法人ボストン法律経済事務所というスンゴイ話。
詳しくは法律家にお任せするとして、
簡単にいうと、この法律事務所がホームページに使用した写真が、フリー写真だと思って使ったら、アマナの所有する写真だった。

で、ボストン法律事務所は本件各写真の著作権等について、調査・確認する義務を怠ったという重大な過失がある。って事が判決。

アマナプレス文書
無名な一個人が著作権を侵害したからと訴えられる可能性は低いものの、やはり気をつけなければならない時代になってきていると言えると思う。

 

まとめ

デザインの発注をする場合、信頼も含めての発注になることは間違いないが、その人の常識や知識を見極めることも必要になってくると思う。

しかし、基本は依頼する側が知識を持っていることが望ましい。例えば医療広告や化粧品なんて良い例だと思うが、かなり特殊だし頻繁に変わる。言ってはいけない、掲載してはならない言葉などは専門的に学んでないとついて行けない。

だから知識があるひとが作成することや最後に専門機関にチェックしてもらうなどが必要になってくるが、慎重に扱わなければならないことすら、発注者側も請負側も知らなかったなんて事もあるから、気をつけないとならないところだと思う。

 

あとがき☆☆☆

私もblogをはじめてから、毎日写真や画像が必要になってきました。ネットで検索をすればあっという間に使える画像が出てくるけれど、色々考えるとネットに転がっている写真を使う方が面倒なので、最近はいつか何かに使えるかも知れないからと頻繁に撮影をするようになってきました。

撮影したことすら忘れている場合もありますが・・・・・・

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